「猫のFIP」が心配な飼い主様へ|突然の発熱や腹水は要注意です
「猫の元気が急になくなった」
「数日前まで普通だった猫のお腹が急に膨らんできた」
「動物病院でFIPかもしれないと言われた」
猫のFIPは、若い猫に多く見られる非常に重い病気です。
以前まで猫のFIPは「助からない病気」と言われていました。
しかし現在では、治療薬の進歩によって回復を目指せるケースが増えています。
一方で、猫のFIPは進行が早い病気です。
発見が遅れることで命に関わるケースもあります。
若い猫の発熱や腹水症状から猫のFIPが見つかるケースがあります。
今回のコラムでは、猫のFIPについて、
- 初期症状
- 腹水との関係
- 治療方法
- 治療費
- 治る可能性
- 予防方法
まで、飼い主様向けにわかりやすく解説します。
目次
猫のFIPとはどんな病気なのか
猫のFIPは、「猫伝染性腹膜炎」と呼ばれる病気です。
猫のFIPは、「猫コロナウイルス」というウイルスが関係しています。
猫コロナウイルスは、多くの猫が持っているありふれたウイルスです。
ほとんどの猫では大きな問題になりません。
しかし、一部の猫ではウイルスが体の中で変化し、強い炎症を引き起こします。
炎症が全身に広がることで、猫のFIPを発症します。
猫のFIPは若い猫に多く、生後6か月〜2歳頃までの猫で発症しやすい特徴があります。
当院でも、「急に食欲がなくなった」「発熱が続いている」という症状から検査を行い、猫のFIPが見つかったケースがあります。
猫のFIPは早期発見と早期治療が非常に重要な病気です。
猫のFIPはどの年齢で多いのか
猫のFIPは若齢猫で多く発症します。
特に注意が必要なのは以下の猫です。
- 生後6か月〜2歳未満
- 保護猫
- 多頭飼育の猫
- 純血種
- ストレスを受けやすい猫
引っ越しや新しい猫との同居後に体調を崩すケースもあります。
免疫バランスの変化が発症に関係すると考えられています。
猫のFIPの初期症状とは
猫のFIPは初期症状が非常にわかりづらい病気です。
風邪や胃腸炎に似た症状から始まるケースもあります。
そのため、発見が遅れることがあります。
猫のFIPで多い初期症状
猫のFIPでは以下の症状がよく見られます。
- 元気がない
- 食欲不振
- 発熱
- 体重減少
- 寝ている時間が増える
- 毛づやが悪くなる
特に「抗生物質が効かない発熱」は注意が必要です。
「数週間ずっと熱が下がらない」という相談から猫のFIPが見つかったケースもあります。
若い猫の発熱が続く場合は、早めの検査をおすすめします。
猫のFIPで見られる腹水とは
猫のFIPでは、お腹の中に大量の液体が溜まる「腹水」が見られることがあります。
腹水が増えると、
- お腹だけ急に膨らむ
- 呼吸が苦しそうになる
- 動きたがらない
- 食欲がなくなる
などの症状が出ます。
「急に太っただけだと思った」という飼い主様も少なくありません。
しかし、短期間でお腹が大きくなった場合は注意が必要です。
猫のFIPでは、腹水だけではなく胸に水が溜まる「胸水」が見られるケースもあります。
胸水が増えると呼吸が苦しくなり、緊急処置が必要になる場合があります。
猫のFIPで見られる神経症状や眼の症状
猫のFIPでは、脳や神経に炎症が広がるケースがあります。
以下の症状が見られる場合があります。
- ふらつく
- まっすぐ歩けない
- けいれん
- 首が傾く
- 後ろ足が動かしにくい
眼の異常が見られるケースもあります。
- 目の色が変わる
- 白く濁る
- 充血する
- 見えにくそうにする
神経症状や眼症状が見られる場合は、重症化している可能性があります
猫のFIPの「ウエットタイプ」と「ドライタイプ」とは?
猫のFIPは、大きく分けて「ウエットタイプ」と「ドライタイプ」の2種類があります。
症状や進行スピードが異なるため、それぞれの特徴を知ることが重要です。
猫のFIP ウエットタイプとは
猫のFIP ウエットタイプは、体の中に大量の液体が溜まるタイプです。
特に、
- お腹に水が溜まる「腹水」
- 胸に水が溜まる「胸水」
が特徴です。
猫のFIP ウエットタイプは進行が早いケースが多く、急激に体調が悪化することがあります。
猫のFIP ウエットタイプで見られる症状
猫のFIP ウエットタイプでは、以下の症状が見られます。
- お腹が急に膨らむ
- 呼吸が苦しそう
- 食欲が落ちる
- 元気がなくなる
- 発熱が続く
- 体重が減る
特に胸水が増えると、呼吸困難になるケースがあります。
「横になれず座ったまま呼吸する」という状態は緊急性が高いサインです。
当院でも、「数日で急にお腹だけ大きくなった」という相談から、猫のFIP ウエットタイプが見つかったケースがあります。
猫のFIP ウエットタイプの特徴
猫のFIP ウエットタイプは比較的診断しやすい傾向があります。
腹水や胸水を検査することで、FIPを疑う重要な情報が得られます。
しかし、進行スピードが速いため、早急な治療開始が重要です。
猫のFIP ドライタイプとは
猫のFIP ドライタイプは、体の中に強い炎症のかたまりができるタイプです。
ウエットタイプのように大量の腹水が溜まらないため、発見が遅れるケースがあります。
猫のFIP ドライタイプは症状が多様で、他の病気と間違われることもあります。
猫のFIP ドライタイプで見られる症状
猫のFIP ドライタイプでは、以下の症状が見られます。
- 発熱が続く
- 食欲不振
- 元気消失
- 体重減少
- 眼の異常
- 神経症状
特に神経症状では、
- ふらつく
- 後ろ足が動かしにくい
- けいれん
- 首が傾く
などが見られる場合があります。
眼の異常では、
- 目が白く濁る
- 充血する
- 見えにくそうにする
などの症状が見られます。
猫のFIP ドライタイプの特徴
猫のFIP ドライタイプは診断が難しいケースがあります。
腹水が目立たないため、「原因不明の発熱」として経過を見ることもあります。
当院でも、「熱が下がらない」「食欲が戻らない」という症状から精密検査を行い、猫のFIP ドライタイプが疑われたケースがあります。
猫のFIP ドライタイプでは、MRIや超音波検査など追加検査が必要になる場合もあります。
猫のFIPはウエットタイプとドライタイプが混在することもある
猫のFIPでは、ウエットタイプとドライタイプが完全に分かれるわけではありません。
腹水が少し見られながら、神経症状も出るケースがあります。
そのため、症状全体を総合的に確認することが重要です。
猫のFIPは早期発見が重要
猫のFIPは、ウエットタイプでもドライタイプでも早期治療が重要です。
特に、
- 若い猫の発熱
- 原因不明の食欲低下
- 急なお腹の膨らみ
- 呼吸異常
- 神経症状
が見られる場合は注意が必要です。
「少し様子を見る」が危険になるケースもあります。
猫のFIPの原因とは
猫のFIPは、猫コロナウイルスが体の中で変化することで発症します。
しかし、なぜ一部の猫だけ発症するのかは完全には解明されていません。
猫のFIPとストレスの関係
猫のFIPはストレスとの関係が指摘されています。
例えば以下のような出来事があります。
- 引っ越し
- 新しい猫との同居
- 長時間の留守番
- 手術後
- 出産後
猫は環境変化に敏感な動物です。
ストレスによって免疫力が低下すると、猫のFIP発症リスクが高まる可能性があります。
猫のFIPと遺伝の関係
純血種で猫のFIP発症率が高いという報告があります。
特に注意が必要と言われている猫種は以下の通りです。
- ベンガル
- ラグドール
- アビシニアン
- スコティッシュフォールド
遺伝的な体質が関係している可能性があります。
猫のFIPの検査方法
猫のFIPは、1つの検査だけで確定診断できないケースが多い病気です。
複数の検査結果を総合的に判断します。
猫のFIPで行う血液検査
血液検査では以下の異常が見られるケースがあります。
- 炎症反応上昇
- 貧血
- 高グロブリン血症
- A/G比低下
特にA/G比は重要な数値です。
A/G比が低い場合、猫のFIPを疑う材料になります。
猫のFIPで行う腹水検査
腹水が溜まっている場合は、腹水検査を行います。
猫のFIPによる腹水では、
- 黄色っぽい
- 粘り気が強い
- タンパク濃度が高い
という特徴があります。
検査結果は診断の重要な参考になります。
猫のFIPで行うPCR検査
PCR検査ではウイルス遺伝子を確認します。
血液や腹水を用いて検査します。
ただし、PCR検査だけで100%診断できるわけではありません。
症状や画像検査結果も合わせて総合判断を行います。
猫のFIPの治療方法
以前まで猫のFIPは治療困難な病気でした。
しかし現在では、抗ウイルス薬による治療成績が大きく改善しています。
猫のFIP治療薬とは
現在の猫のFIP治療では、抗ウイルス薬を使用するケースが増えています。
抗ウイルス薬によってウイルス増殖を抑えます。
一般的な治療期間は84日間です。
治療開始後、数日で食欲改善が見られる猫もいます。
ほとんど食事ができなかった猫が、治療開始後に自力で食べられるようになったケースがあります。
猫のFIP治療費はどれくらいかかるのか
猫のFIP治療では、高額な医療費が必要になるケースがあります。
体重や治療期間によって変動しますが、総額で20万円〜80万円以上になるケースもあります。
特に以下の費用が必要になります。
- 抗ウイルス薬
- 血液検査
- 超音波検査
- 入院費
- 腹水や胸水処置 等
猫のFIPは長期管理が必要な病気です。
治療開始前に、治療費や通院回数を確認することが重要です。
猫のFIP治療で重要なこと
猫のFIP治療では継続管理が非常に重要です。
症状改善後に自己判断で治療を中断すると、再発リスクがあります。
定期的な血液検査によって治療効果を確認します。
食欲や体重変化を毎日記録することも大切です。
猫のFIPの予防方法
猫のFIPを完全に防ぐ方法は確立されていません。
しかし、発症リスクを下げる管理方法はあります。
猫のFIP予防で重要なストレス対策
猫のストレス管理も重要です。
以下の対策がおすすめです。
- 隠れ場所を作る
- 急な環境変化を避ける
- 十分な遊び時間を確保する
- 静かな休息場所を用意する
猫が安心できる環境作りが重要です。
猫のFIP予防で重要な健康診断
若い猫でも定期健康診断が重要です。
特に体重減少には注意が必要です。
1か月で5%以上体重が減少している場合は、病気が隠れている可能性があります。
食欲や活動量の変化も見逃してはいけません。
猫のFIPは「少し様子を見る」が危険な病気です
猫のFIPは、数日で急激に悪化するケースがあります。
特に若い猫では、
- 発熱
- 元気消失
- 食欲低下
- お腹の膨らみ
などの症状が見られた場合、早急な検査が必要になるケースがあります。
「まだ若いから大丈夫」と考えて様子を見ることで、治療開始が遅れるケースもあります。
当院では、猫の発熱や腹水症状、食欲不振など内科疾患の診察にも力を入れています。
早期発見と早期治療が、猫の命を守る大切なポイントになります☺️

