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猫の甲状腺機能亢進症

猫の甲状腺機能亢進症| 原因・症状・治療について

猫の甲状腺機能亢進症は、10歳以上のシニア猫に多いホルモン異常です。進行すると心臓や腎臓に負担がかかる病気で早期発見と専門的な治療が非常に重要です。
本記事では、甲状腺機能亢進症の治療を得意とする動物病院として、原因・症状・治療法・食事管理を、飼い主様が「知りたいこと順」に詳しく解説します。


猫の甲状腺機能亢進症とは ― 体重が減るのに食べ続ける病気

猫の甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモン(T4)が必要以上に増えることで代謝が上がりすぎる病気です。
国内データでは 12歳以上の猫の15〜20%で発生 するとされ、高齢猫では特に注意が必要です。

代謝が過剰になるため、体重が減るのに食欲が強くなるという特徴的な症状が現れます。


原因のほとんどは良性腫瘍 ― 多くは治療でコントロール可能

猫の甲状腺機能亢進症の 約95%は良性腫瘍(腺腫) が原因です。悪性は非常に少なく、治療によるコントロールが十分可能です。

主な要因として考えられるのは次の通りです。

  • 甲状腺細胞の過形成

  • 良性腺腫

  • ヨウ素量の影響

  • 遺伝的要因

  • フード中成分との関連(研究中)

ほとんどの症例が良性で、適切な治療で落ち着いて生活することが望めます。


飼い主が気づきにくい症状 ― 体重減少は最重要サイン

甲状腺機能亢進症の症状は多岐にわたりますが、特に注意すべきポイントは次の5つです。

● 体重減少と食欲増加

代謝が高まり、どれだけ食べても体重が減り続けます。

1か月で400g減る猫もいます。

● 多飲多尿

腎臓への負担が大きくなり、水をたくさん飲むようになります。

● そわそわして落ち着かない

夜中に歩き回る、鳴くなどの行動変化が見られます。

● 嘔吐・下痢などの消化器症状

腸の動きが活発になり、嘔吐が増える猫もいます。

● 甲状腺が腫れて触れることがある

首の横にしこりのような感触が出る場合があります。


診断には複数の検査が必要 になる場合もあります― T4だけでは判断できないケースも

正確な診断のためには複数の検査を組み合わせます。

● T4測定(最重要の一次検査)

高値であれば甲状腺機能亢進症の可能性が高くなります。

● fT4

T4が正常〜軽度上昇のグレーゾーンに有効。

● 心臓の超音波検査

ホルモン増加により心拍数が上がるため、心筋への負担評価が必要です。

● 腎臓病のチェック

甲状腺と腎臓は密接に関係し、併発が非常によくあります。


最適な治療法を選ぶ 治療法は主に2つに分けられます。

① ヨウ素制限食

メリット

  • 投薬のストレスがない

  • ホルモン値が安定しやすい

デメリット

  • 他の食べ物を一口でも食べると効果が落ちる

  • 多頭飼育だと管理が難しい

② 内服

メリット

  • 即日治療が始められる

  • 効果を血液検査で細かく調整可能

  • 自宅で管理できる

デメリット

  • 毎日の投薬が必要

  • 嘔吐やかゆみなどの副作用

  • 腎臓病が隠れている場合、治療後に数値が上昇することがある


治療を始めると腎臓数値が悪く見える理由

治療後に腎臓の数値が上がることがありますが、急に悪化したわけではありません。
甲状腺ホルモンが高い状態では腎臓の血流が増えるため「腎数値がよく見える」だけで、治療して正常化すると本来の数値が表面化します。

私は併発症例を多数診ていますが、早期に甲状腺と腎臓をセットで管理すれば、多くの猫が安定した状態になります。


予後は良好 ― 適切な治療で長く元気に暮らせる

甲状腺機能亢進症は治療すれば寿命への影響が少ない病気です。
治療開始から3〜6か月で多くの猫が安定し、15歳・20歳まで健康的に過ごした例もあります。


まとめ

歳をとって痩せてきたけど、元気も食欲も若い頃以上にある😺」そんな猫ちゃんは要注意⚠️気になる症状があれば早めの受診をオススメします

  • 10歳以上の猫は年1〜2回の健康診断

  • 体重減少・食欲増加・多飲多尿は重要なサイン

  • 主な治療法は内服・食事

  • 腎臓病との併発チェックが必須

猫の甲状腺機能亢進症が疑われる場合は、いつでもご相談ください。
少しの気づきが、猫の寿命を大きく伸ばします。