こんにちは🌼花咲く動物病院スタッフです。
今回は草食動物の歯のつくりと歯切りの必要性について解説いたします。
ウサギやモルモット、チンチラなどの草食動物は、犬や猫とは大きく異なる「歯の特徴」を持っています。特に、歯が一生伸び続けるという特性があり、家庭で飼育している環境では自然に削れにくいため、歯切り(歯科処置) が必要になるケースが多く見られます。
目次
草食動物の歯のつくりとは?
永久に伸び続ける歯の特徴
草食動物の歯は、人間や犬猫のように生え替わった後に固定されるわけではありません。
ウサギやモルモット、チンチラなどの臼歯や切歯は、一生涯伸び続ける「常生歯」 と呼ばれています。
これは、硬い草をすりつぶす生活に適応した結果です。自然界では毎日何時間も牧草を噛み続けることで歯が摩耗し、適切な長さが保たれます。
自然界と家庭飼育の違い
自然界では常に硬い草や木の皮をかじるため、歯が過剰に伸びすぎることはほとんどありません。
しかし家庭で飼育する場合、ペレットやおやつに偏った食事を与えてしまうと、摩耗が追いつかず、歯が過剰に伸びて「不正咬合」を起こします。
これが草食動物に多い歯科疾患の代表例です。
草食動物に多い歯のトラブル
不正咬合とは?
不正咬合とは、上下の歯が正しく噛み合わなくなり、歯が曲がって伸びたり、舌や頬を傷つけたりする状態です。特にウサギでは頻繁に見られ、奥歯が尖って舌や頬に刺さる棘状の歯などが問題になります。
症状の具体例
不正咬合が進むと、以下のような症状が見られます。
特に「よだれ」と「牧草を食べなくなる」という症状は、歯のトラブルを疑う大きなサインです。
歯切りが必要になるケース
ウサギ・モルモット・チンチラ等の事例
当院でも、草食動物の飼い主様から「急にペレットは食べるのに牧草を食べなくなった」というご相談をいただくことがあります。診察すると、奥歯が鋭く尖って舌に傷をつけていることが判明し、歯切り(臼歯トリミング) を行うことで食欲が戻るケースは少なくありません。
また、チンチラやデグーは顎が小さいため、歯根が伸びて眼や鼻を圧迫し、慢性的な涙や鼻水が出ることもあります。これらの動物では、定期的な歯科チェックと歯切り が健康維持に不可欠です。
歯切りをしないリスクと早期発見のポイント
歯切りを怠ると、以下の深刻な問題が生じます。
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栄養失調による急激な体重減少
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消化器官の働きが止まる「うっ滞」
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歯根膿瘍(歯の根に膿が溜まる病気)
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慢性的な流涙や呼吸器障害
草食動物は体調の変化を隠す習性があるため、飼い主が気づいたときにはすでに重症化しているケースも少なくありません。早期発見のためには、日々の食欲・体重・糞の大きさ/量・水分摂取量などを観察することが大切です。
草食動物の歯の健康を守るための予防法
牧草中心の食事
歯の摩耗を自然に促すためには、食事の8割以上を牧草にすることが推奨されます。特にチモシーのような硬い繊維質の多い牧草が効果的です。ペレットやおやつを多く与えてしまうとそれのみ食べてしまい牧草を食べなくなる為、補助的に与えるにとどめましょう。
定期健診の重要性
不正咬合は外からでは分かりにくいため、半年に一度の定期歯科検診をおすすめします。特に奥歯の状態は飼い主がチェックできないため、動物病院での口腔内確認が不可欠です。
当院で行う草食動物の歯科治療とサポート
花咲く動物病院では、草食動物の歯科処置に対応しています。専用の器具を用いた安全な歯切りを行い、処置中は動物への負担を最小限に抑える工夫をし、同時に血液検査とレントゲン検査も行っております。また、食生活の改善指導や、飼育環境の見直しに関するアドバイスも行っています。
飼い主様が安心して草食動物を暮らせるように、医療と生活の両面からサポートいたします。
まとめ:草食動物の歯の健康を守るためにできること
ウサギやモルモット、チンチラなど草食動物の飼育で歯の健康に不安がある飼い主様は、ぜひ当院にご相談ください。大切なご家族である草食動物の健康を、一緒に守っていきましょう。