🌿香芝市近隣にお住いの飼い主様へ
犬や猫にも危険な「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」の実態と予防法
近年、奈良県内でもマダニによる感染症の報告が増えています。
その中でも特に注意が必要なのが、**SFTS(重症熱性血小板減少症候群)**です。
ニュースなどで耳にしたことがある方も多いかもしれませんが、この病気は犬や猫だけでなく人にも感染し、重症化すると命に関わる危険がある人獣共通感染症です。
本記事では、SFTSの危険性・感染経路・症状・診断・治療・予防策を、動物病院の立場からわかりやすく解説します。
目次
🦠 SFTSとは ― 命に関わるウイルス性感染症
SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome:重症熱性血小板減少症候群)
とは、マダニが媒介するウイルス性疾患です。
日本では2013年に初めて確認され、以降、西日本を中心に報告数が増加しています。
厚生労働省の発表によると、致死率はおよそ20%前後と非常に高く、奈良県内でも感染報告が相次いでいます。
感染はマダニの吸血によって起こります。
自然が多い地域では、春から秋にかけてマダニの活動が最も活発になります。
そのため、犬や猫の散歩や外出時期には特に注意が必要です。
🐶 犬や猫がSFTSに感染した場合の症状
SFTSウイルスに感染した犬や猫では、次のような症状が見られます。
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39〜40℃を超える高熱
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食欲低下や元気消失
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嘔吐や下痢
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歯茎・皮膚の出血傾向
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血液検査で白血球・血小板の減少
SFTSが疑われる場合でも、早期に点滴等の治療を開始することで回復することもありますが、発見が遅れれば命に関わる可能性もあります。上記の症状が現れたりマダニに噛まれた可能性がある場合、初期段階での受診と検査が非常に重要です。
👩⚕️ 飼い主にも感染の危険がある ― ペットを介するSFTS感染
SFTSの恐ろしい点は、犬や猫を介して人に感染する可能性があることです。
感染動物の血液や唾液、体液などに含まれるウイルスが、皮膚の小さな傷や粘膜を通じて人の体内に入ることがあります。
厚生労働省の報告では、感染した猫に咬まれた飼い主がSFTSを発症したケースも確認されています。
発熱やぐったりした様子の犬・猫を素手で触ることは避け、タオル越しの対応や動物病院での診察を優先してください。
また、飼い主自身も屋外でのマダニ対策を行うことが大切です。
🩸 SFTSの診断と治療方法
動物病院では、SFTSが疑われる場合、次のような手順で診断を行います。
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身体検査:体温・リンパ節・粘膜・出血傾向の有無を確認
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血液検査:白血球や血小板の減少をチェック
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PCR検査:ウイルス遺伝子の有無を確認(確定診断)
身体検査や血液検査でSFTSが疑われる場合は、PCR検査で確定するという流れです。
現時点(2025年現在)では、SFTSに対する特効薬やワクチンは存在しません。
治療は主に対症療法で行い、
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輸液(点滴)での脱水防止
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抗生剤による二次感染予防
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解熱剤や栄養補給での体力維持
などが中心です。
犬や猫の免疫力を保ちながら、自然回復を待つ形になります。
早期の受診と集中治療が、回復の可能性を高める唯一の方法です。
🌿 飼い主ができるSFTSの予防法
SFTSを防ぐための最大のポイントは、マダニ対策です。
香芝市近隣では、3月〜10月頃が特に感染リスクの高い時期です。
▶ 飼い主様が行うべき5つの予防策
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マダニ予防薬を毎月使用する
スポットタイプ・内服タイプなど、動物病院で処方される予防薬を継続的に使用しましょう。 -
草むらや山道を避けて散歩する
特に梅雨〜夏の時期はマダニの活動が活発です。舗装された道を選ぶのが安全です。 -
帰宅後の全身チェックを習慣にする
耳の内側、目の周り、首、わき、脚の付け根など、マダニがつきやすい場所を確認します。 -
マダニを見つけても自分で取らない
無理に引き抜くと口器が皮膚に残ることがあり、感染や炎症の原因になります。
必ず動物病院で安全に除去しましょう。 -
室内でも油断しない
マダニは衣類や毛に付着して家の中に持ち込まれることがあります。
室内飼いでも予防は欠かせません。
🏥 花咲く動物病院でのSFTS対策と取り組み
当院では、SFTSの感染拡大を防ぐため、以下の取り組みを行っています。
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LINE公式アカウントや院内掲示での注意喚起
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外出頻度や飼育環境に応じた個別予防プランの提案
飼い主様が安心してペットと暮らせるよう、地域密着型の感染症対策を続けています。
💬 よくある質問(FAQ)
Q. 犬や猫のSFTSは人にうつりますか?
A. 感染した動物の体液や血液に触れることで人に感染することがあります。素手で触れず、感染が疑われる場合は速やかに動物病院へ。
Q. どの季節に多いですか?
A. 春〜秋が最もリスクが高いですが、冬でもマダニが活動します。通年での予防が理想的です。
Q. SFTSの治療法はありますか?
A. 現時点では特効薬やワクチンはありません。早期の診断と支持療法が回復の鍵です。
Q. 室内飼いでも感染しますか?
A. はい。衣類や毛に付着したマダニが屋内に持ち込まれることがあります。室内飼いでも予防薬が必要です。
🧭 まとめ ― 愛犬・愛猫を守るために今できること
SFTSは、人にも動物にも感染する非常に危険な感染症です。
しかし、毎月の予防と日々のチェックでリスクをほぼゼロに抑えることができます。
飼い主様は、ぜひこの機会にマダニ予防薬の継続使用を見直してください。
少しでも体調の変化や発熱、食欲不振が見られたら、早めにご相談ください。