こんにちは🌿
梅雨の合間の晴れ間がうれしい季節になりましたね☀️
気温の激しい変化に人も動物も少しお疲れ気味…そんな日が続いています。
ところで、身近な猫ちゃんにこんな変化はありませんか?🐱
「最近やたら水を飲んでるなぁ」「ごはんを残す日が増えたかも」「ちょっと痩せた…?」
もしかしたらそれ、“慢性腎臓病”という病気のサインかもしれません。
猫の慢性腎臓病(CKD)は、特に中高齢の猫に多く見られ、ゆっくり進行するのが特徴です。
最初は見た目では気づきにくいため、放っておくと知らない間に体が弱ってしまうことも…。
この記事では、猫の慢性腎臓病の初期症状・進行したときのサイン・治療やケアの方法まで、わかりやすくまとめています📝
「もしかして…?」と思ったときに、役立てていただけると嬉しいです🌸
猫の慢性腎臓病とは?高齢猫に多い“静かに進行する病気”の正体
猫の慢性腎臓病とは、腎臓の機能がゆっくりと失われていく進行性の病気です。一度壊れた腎組織は再生することがなく、病気が進行するにつれて、体内に老廃物や余分な水分が蓄積し、全身にさまざまな不調を引き起こします。
特に高齢の猫では発症リスクが高く、10歳以上の猫の約3割〜4割が慢性腎臓病にかかっているとも言われています。腎臓の役割は血液中の老廃物や毒素(尿素窒素、クレアチニン、SDMAなど)をろ過し、尿として排出することです。このろ過機能が失われると、体内に毒素がたまり、食欲不振、嘔吐、体重減少などの症状を引き起こします。
猫の慢性腎臓病の主な原因とは
猫の慢性腎臓病にはさまざまな原因がありますが、代表的なものは以下の通りです。
・加齢による腎機能の自然な低下
・過去の腎炎、尿路感染症、結石などの病歴
・高血圧や甲状腺機能亢進症などの慢性疾患
・遺伝的要因や特定の品種(例:ペルシャ、アビシニアンなど)
また、日常的な水分摂取量の不足や、低品質な食事も腎臓に負担をかける原因になりえます。
猫の慢性腎臓病の初期症状に注意
猫の慢性腎臓病は、初期段階では目立った症状が出にくいため、飼い主が気づきにくいのが特徴です。以下のような変化に注意しましょう。
・水をよく飲むようになった(多飲)
・尿の量が増えた(多尿)
・食欲の低下
・体重が徐々に減ってきた
・毛づやが悪くなり、毛がボサボサになる
・嘔吐の回数が増える
・元気がなく、あまり動かない
こうした症状は「年のせい」と見逃されがちですが、腎臓病の初期サインである可能性があります。
進行した慢性腎臓病の症状とは?
病気が進行すると、より深刻な症状が現れます。
・アンモニア臭のある口臭(尿毒症による)
・ひどい脱水状態
・貧血による歯茎の白さや元気の喪失
・歩行困難、ふらつき、筋肉の衰え
・けいれんや意識障害(末期の場合)
腎臓のろ過機能が75%以上失われると、血液中の毒素が一気に上昇し、体に強い悪影響を及ぼします。だからこそ、早期発見と治療が命を守る鍵となります。
猫の慢性腎臓病の診断方法
当院では以下の検査を組み合わせて診断を行います。
・血液検査(BUN、Cre、SDMA)
・尿検査(尿比重、尿タンパク、pH)
・超音波検査(腎臓の大きさ、形、内部構造の確認)
・血圧測定(高血圧の有無を確認)
特にSDMA検査は、腎機能の早期低下を察知できる最新の指標として重視されています。これらの検査結果を総合的に判断して、治療方針を決定します。
猫の慢性腎臓病の治療と食事療法
治療の目的は「進行を遅らせること」と「生活の質を保つこと」です。完治が難しい病気だからこそ、継続的な管理が重要になります。
【治療の主な内容】
・皮下輸液による脱水予防と毒素の排出補助
・リン吸着剤の投与で腎臓への負担軽減
・降圧剤による血圧コントロール ・貧血改善のためのエリスロポエチン製剤
【療法食の特徴】
・タンパク質とリンを制限し、腎臓への負担を軽減
・ナトリウムを調整して血圧上昇を防止
・オメガ3脂肪酸や抗酸化物質を含有
特に療法食は、腎臓病の進行抑制において中心的な役割を果たします。できる限り早い段階から療法食を導入することが推奨されます。
猫と一緒に暮らすための日常の工夫
慢性腎臓病と診断された後も、日常のケア次第で猫の生活の質を大きく保つことができます。
【水分摂取を促す工夫】
・新鮮な水を数カ所に設置
・自動循環式の給水器の使用
・ウェットフードを利用する
【毎日の観察ポイント】
・食欲、体重の変化
・排尿の量と回数
・吐いた回数や便の状態
・口臭や被毛の変化
・元気や運動量の低下
少しでも気になる変化があれば、早めに獣医師に相談してください。
よくある質問(Q&A)
Q1:慢性腎臓病はうつりますか?
A1:いいえ、他の猫や人間にはうつりません。
Q2:慢性腎臓病と診断されたら寿命は短いですか?
A2:早期に発見し適切に管理すれば、数年以上元気に過ごす猫もいます。
Q3:療法食は食べてくれますか?
A3:猫の好みに合わせて数種類の製品を試すことで、多くの場合受け入れてもらえます。獣医師と相談しながら選びましょう。
猫ちゃんの体調の変化は、小さくても早めに気づくことがとても大切です。
「年齢のせいかな」と思っていた症状が、じつは病気のサインだったというケースも少なくありません。
もし最近、「よく水を飲む」「元気がない」「トイレの量が気になる」など、
少しでも気になる様子があれば、無理をせず、まずは一度ご相談くださいね🐾
慢性腎臓病は早期発見と適切なケアで、猫ちゃんのQOL(生活の質)をぐっと守ることができます。
この記事が、あなたと大切な猫ちゃんの毎日に、ほんの少しでも役立てば嬉しいです🌿
ご不安なことがあれば、花咲く動物病院までお気軽にどうぞ🍀