香芝市にある花咲く動物病院のブログ

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ウサギの避妊手術と子宮疾患について知っておきたいこと

【ウサギの避妊手術と子宮疾患について知っておきたいこと】

こんにちは☔️ じめじめとした日が続いていますが皆様いかがお過ごしでしょうか?😅今回は当院でも患者様の多いウサギの子宮の病気とその予防についてご紹介させていただきます。既にウサギと一緒に暮らしていらっしゃる方にも、これからお迎えを考えていらっしゃる方にも是非お読みいただけたらと思います🌼

ウサギを飼っている多くの飼い主様が見逃してしまう“子宮の病気”。特にウサギの子宮疾患は非常に発生率が高く、放置すると命に関わることもある重大な問題です。本記事では、ウサギの避妊手術がなぜ重要なのか詳しく解説します。


ウサギの避妊手術とは?子宮疾患予防の基本

避妊手術とは、メスのウサギに対して卵巣と子宮を取り除く外科的な処置です。手術を行うことで、発情によるストレスやホルモン異常を抑えるだけでなく、将来的に発生しやすい子宮の病気を予防できます。とくに子宮疾患は、避妊手術をしていないメスのウサギの50〜80%に見られると言われており、非常に高確率で発症します。


ウサギに多い子宮疾患とは?

ウサギにおける子宮疾患の代表例には、以下のような病気があります。

  • 子宮腺癌(しきゅうせんがん):ウサギに非常に多く見られる悪性腫瘍で、進行すると肺や肝臓に転移することもあります

  • 子宮内膜過形成:子宮内膜が異常に増殖する状態で、出血や感染のリスクが高まります

  • 子宮水腫:子宮内に水がたまり、膨張する疾患で、圧迫による痛みや不快感が出ます

これらの病気はどれも発見が遅れがちで、気づいた時にはすでに病状が進行していることが少なくありません。特に子宮腺癌は、肺など他の臓器へ転移するリスクもあり、命を脅かす重大な疾患です。


ウサギの子宮疾患の初期症状と見逃しやすいサイン

子宮疾患の早期発見には、日々の観察がとても重要です。以下のような症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診してください。

  • 尿や陰部からの出血

  • 元気がない

  • 食欲不振

  • 異常なグルーミング行動

  • 抱っこや触れられるのを嫌がる

これらのサインは一見すると「気まぐれ」や「年齢による変化」に見えるかもしれません。しかし、実際には進行中の子宮疾患の兆候である可能性があります。


ウサギの避妊手術のメリットとデメリット

避妊手術にはメリットとデメリットが存在します。手術を検討する際には、獣医師と相談し、ウサギの健康状態や性格、年齢を踏まえた上での判断が求められます。

メリット

  1. 子宮疾患の予防ができる
    避妊手術を行う最大のメリットは、子宮腺癌や蓄膿症などの致命的な子宮疾患を確実に予防できることです。発症すると治療が難しく、命に関わる可能性もあります。若いうちに手術を行うことで、こうした病気のリスクを大幅に軽減できます。

  2. ホルモン由来の攻撃性やマウンティングが軽減される

  3. 発情に伴うストレスが減る

  4. 高齢になってからのリスク(腫瘍など)を軽減できる

 

デメリット

  1. 全身麻酔のリスクがある(特に高齢のウサギ)

  2. 術後管理に手間がかかる

  3. 一時的に食欲が落ちることがある

  4. 肥満傾向になる可能性がある

手術のメリットは多くありますが、術後のフォローアップも非常に重要です。術後のケアをきちんと行うことで、デメリットを最小限に抑えることができます。


避妊手術はいつが適切?最適なタイミングと注意点

避妊手術の実施時期は、生後6~12か月齢が目安です。この時期を過ぎると、子宮疾患のリスクが徐々に高まっていきます。2歳のウサギでも子宮腺癌と診断されたケースもあり、若いから大丈夫と過信するのは禁物です。また、年齢が上がるにつれて麻酔リスクも上昇するため、できるだけ若いうちに手術を検討することが推奨されます。術後の回復も高齢になるほど遅い傾向が強く、点滴や強制給餌等の術後管理が必要になります。


避妊手術後のケアと注意点

避妊手術後のウサギには、以下のようなケアが必要です。

  • 静かな環境での安静

  • 傷口の確認と消毒

  • 食欲不振時のサポート(強制給餌、点滴など)

  • 糞尿の量や形のチェック

ウサギはストレスに非常に敏感な動物であるため、術後に環境の変化や音などで不安を感じると、食欲が落ちたり、動かなくなることがあります。術後1週間程度は、飼い主が細かく様子を観察することが大切です。


ウサギの避妊手術に関するよくある質問(Q&A)

Q1. オスのウサギも手術が必要?
オスの場合も、繁殖を望まない場合や、マーキング行動・攻撃性の軽減を目的として去勢手術が推奨されます。子宮疾患のような命に関わるリスクはメスほど高くありませんが、高齢の個体では精巣腫瘍やそれに伴うヘルニアなど早期手術が推奨される疾患になることもあります。

Q2. 避妊手術を受けさせると性格が変わりますか?
ホルモンの影響が少なくなるため、落ち着く傾向はありますが、個体差があります。攻撃的な性格が和らぐこともありますが、すべてのウサギに当てはまるわけではありません。

Q3. どれくらいの入院が必要?
術後の回復が良好であれば、基本的には1泊2日程度の入院で済むことが多いです。ただし、術前術後の状態や年齢によっては1週間程度の入院が必要となるケースもあります。

Q4. 手術の費用はどのくらい?
個体の状態によって異なりますが、予防を目的とした1歳未満の避妊手術の場合70000円程度で実施させていただいております。高齢の個体や病気が見つかってからの手術の場合、術前検査項目が増えたり入院下での術後管理が必要になるためさらに高額になります。動物保険に入られている方は保険をご使用いただける場合もあるため、まずはお見積もり等含め是非ご相談ください。


まとめ:ウサギの命を守るために、避妊手術という選択を

ウサギはとても繊細で可愛らしい存在ですが、子宮疾患という大きなリスクを抱えています。避妊手術は、このリスクを大きく減らす有効な手段です。少しでも気になる点があればお気軽に当院をご受診ください。

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