皆さんこんにちは!今回から犬や猫、エキゾチックアニマルの病気についてのブログが始まります💐
香芝市・葛城市・広陵町・大和高田市周辺でペットを飼っていらっしゃる方は、是非ご自身の大切な家族の健康のためにご参考にしていただき、少しでも気になることがあればご来院のきっかけにしていただけると幸いです🌸
今回は第1回目として、臨床的に遭遇することが多い犬の「クッシング症候群」についてお話しさせていただきます🐶
わんちゃんとお住まいの飼い主様へ😀
「最近、うちの犬のお腹が膨らんできた」「水を大量に飲むようになった」「なんだか老けたように感じる・・・」と不安になることはありませんか?
そのような症状は、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の症状である可能性があります。
クッシング症候群は中高齢犬に多くみられるホルモン異常の疾患で、早期発見がその後の治療と生活の質を大きく左右します。
この記事では、犬のクッシング症候群の初期症状と見分け方、動物病院での診断や治療法、家庭でできる管理方法まで、丁寧に解説いたします。是非最後までご覧ください😊
犬のクッシング症候群とは?初期症状の前に知っておくべき基礎知識
犬のクッシング症候群とは、副腎から分泌される「コルチゾール」というホルモンが過剰に分泌される病気です。
正式名称は「副腎皮質機能亢進症」で、特に8歳以上の中高齢犬に多く見られます。
原因としては以下の3タイプがあります。
①下垂体性クッシング症候群(脳下垂体の腫瘍が原因)約85%
②副腎性クッシング症候群(副腎自体の腫瘍)約15%
③医原性クッシング症候群(ステロイド薬の長期使用による)
中でも下垂体性が最も多く、治療には長期間の内服や定期的な検査が必要となることが多いです。
犬のクッシング症候群の初期症状とは?見逃しやすい徴候を解説
犬のクッシング症候群の初期症状はとてもわかりづらく、老化や季節の変化と見間違われやすいです。
しかし、以下のような「小さな異変」が複数重なる場合は、注意が必要です。
①水を異常に飲む(多飲)・尿の量が多い(多尿)
「水の減りが早くなった」と感じるのが最も早い兆候の一つです。
1日に体重1kgあたり100ml以上の水を飲むようになったら、多飲のサインとされています。
同時に尿量も増え、トイレの回数が増えたり、夜間に粗相してしまうこともあります。
②お腹が膨れる・太って見える
腹筋の筋力が低下し、「太った」というよりも「お腹だけポコッと出る」印象です。
当院では、実際に10歳のトイプードルが「急にお腹が張ってきた」と来院し、検査の結果クッシング症候群と診断された例があります。
③毛が薄くなる・左右対称に脱毛する
初期の段階でも「お尻の毛だけ薄い」「脇腹が地肌見えてきた」といった変化が見られます。
皮膚が薄くなり、傷が治りにくくなる傾向も見られます。
④落ち着きがなくなる・性格の変化
ホルモンバランスが崩れることで、落ち着きがなくなったり、夜にウロウロ歩き回るなどの行動異常が現れることもあります。
これは老犬の認知症と誤認されがちなため、注意が必要です。
飼い主様が自宅で気づけるクッシング症候群のチェックポイント
早期発見のためには、飼い主様による日常観察がとても重要です。
以下のような行動や変化が見られた場合には、早めの受診をおすすめします。
①1日あたりの水飲み量が500mlを超える(小型犬の場合)
②尿の回数が1日5回以上に増えてきた
③食べる量は変わらないのに体重が増加
④散歩中に歩くスピードが遅くなった
⑤よく見ると左右対称の薄毛になっている
犬のクッシング症候群の初期症状を放置するリスクとは?
クッシング症候群は、時間の経過とともに様々な合併症を引き起こす可能性があります。
①糖尿病の併発:インスリンの効果が低下し、高血糖に
②高血圧・心肥大:循環器系への負担増加
③膀胱炎・尿路感染:多尿によってバリア機能が低下
④皮膚の感染症:免疫力の低下と皮膚バリアの弱化
⑤筋力の低下による転倒や関節炎の悪化
犬のクッシング症候群の診断方法と動物病院での検査内容
クッシング症候群の初期症状が見られた場合、正確な診断を受けるためには動物病院での検査が不可欠です。外見や症状だけでは他の病気と区別がつかないため、以下のような段階的かつ包括的な検査が必要です。
①一般身体検査と問診
最初に、体重、脱毛の状態、腹部の膨張、皮膚の薄さなどを視診・触診でチェックします。
問診では「水を飲む量」「トイレの回数」「最近の行動の変化」などを細かく聞き取ります。
②血液検査
血中のALP(アルカリホスファターゼ)やALT(肝酵素)などの数値を確認します。
クッシング症候群の犬では、ALPの上昇が特に顕著に見られることが多いです。
③尿検査
尿比重(尿の濃さ)が低下しているか、タンパク尿や血尿の有無を確認します。
多飲多尿がある場合、尿の希釈がみられやすくなります。
④画像検査
腹部超音波検査などを実施し、実際に副腎の大きさや形態をチェックします。
⑤ACTH刺激試験または低用量デキサメタゾン抑制試験
ホルモン検査として、最も信頼性のある検査です。
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に対して副腎が過剰に反応しているかどうかを調べます。
これらの検査結果を総合的に判断することで、クッシング症候群であるかどうかの診断が下されます。
クッシング症候群の治療法
クッシング症候群の治療には、薬物療法を中心に行う内科的アプローチと、腫瘍摘出などの外科的手術を行う方法があります。
①内科的治療(薬によるコントロール)
日本国内では、トリロスタン(商品名:アドレスタン)という副腎皮質ホルモンの合成を抑える薬が一般的に使用されます。
定期的な血液検査やホルモン検査を行いながら、投与量を調整していきます。
・薬による治療のメリット:
手術のリスクがない
高齢犬でも適応しやすい
投薬開始後1〜2週間で症状が軽減することが多い
・薬による治療のデメリット:
生涯投薬が必要
定期的な検査費用がかかる
嘔吐・食欲不振などの副作用が出る場合がある
②外科的治療(腫瘍摘出)
副腎腫瘍や脳下垂体腫瘍が明確に確認された場合には、手術が選択肢となることもあります。
ただし、全身麻酔が必要であり、高齢犬には負担が大きくなるため慎重な判断が必要です。
整形外科的リスクへの対処
クッシング症候群の犬は筋力低下が顕著で、転倒による関節損傷や骨折のリスクが高くなります。
当院では、以下のような整形外科的ケアを同時に提案しています。
滑り止めマットやカーペットの設置
定期的な歩行運動と関節可動域訓練(リハビリ)
膝蓋骨脱臼や股関節形成不全の評価
筋力低下を補うサプリメントの導入
香芝市近隣でクッシング症候群の診断ができる動物病院とは?
クッシング症候群の診断には高度な血液検査機器と経験が必要です。
香芝市、葛城市、広陵町、大和高田市エリアで、ホルモン検査と整形学的評価の両方に対応できる動物病院を探している場合は、ぜひ当院「花咲く動物病院」へご相談ください。
当院では以下のような体制を整えております:
・副腎ホルモン検査(ACTH刺激試験・低用量デキサメタゾン抑制試験)に対応
・高精度の超音波検査機器による副腎・膀胱・肝臓の評価
・クッシング症候群に起因する筋力低下や骨関節疾患の整形外科的ケア
・飼い主様が継続しやすい治療プランの提案
地域密着の動物病院として、症状の早期発見と生活の質の向上に貢献してまいります。
クッシング症候群と上手に付き合うための家庭でのケア方法
犬のクッシング症候群は完治が難しい慢性疾患です。
しかし、適切な治療と家庭でのケアを両立させることで、愛犬との生活をより快適に維持できます。
①食事管理
肝臓や腎臓に負担をかけにくい、高品質なたんぱく質を含む療法食が推奨されます。
また、肥満を避けるために低脂肪・高繊維食が選ばれることもあります。
②日常の生活環境を整える
滑り止めマットの設置、階段や段差の回避、夜間の徘徊対策など、生活環境の見直しが有効です。
③定期通院・検査
1〜3ヶ月に1度は血液検査とホルモンチェックを行い、薬の効果と副作用を確認します。
「最近ちょっと元気がないな」と感じた時点で相談いただくことで、トラブルの早期発見が可能となり、いち早く治療を開始することができます。
まとめ|犬のクッシング症候群の初期症状を見逃さず、早期診断・早期治療を
犬のクッシング症候群は、初期症状が老化や季節の変化と見間違えやすいため、見逃されがちです。
しかし、「水をたくさん飲む」「お腹がぽっこり出ている」「毛が薄くなった」などの小さな変化は、体からの重要なサインかもしれません。
香芝市近隣にお住まいの飼い主様で、少しでも心配な症状が見られた場合には、早めに花咲く動物病院へご相談ください。
早期発見・早期治療を行うことで、愛犬との生活をより安心・快適に保つことができます。