香芝市にある花咲く動物病院のブログ

犬・猫・エキゾチックアニマル診療対応
花咲く動物病院
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花咲く動物病院便り

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犬の歯石取り、麻酔なしは本当に安全?

こんにちは、花咲く動物病院です🌼

最近、トリミングサロンやペットショップなどで「無麻酔の歯石取り」の広告を目にすることが増えました。

実際に「無麻酔でできるなら安全そう」「麻酔は怖いから避けたい」と感じる飼い主様も少なくないでしょう。

しかし、犬にとっての無麻酔歯石取りは、見た目の印象とは裏腹に大きなリスクを伴う処置です。

大切な愛犬の健康を損なわないために、犬の無麻酔での歯石取りの危険性について、

動物病院の視点から詳しく解説させていただきます。

犬にとって無麻酔歯石取りが危険な理由

①犬の動きによるケガのリスクが高い

犬は処置中にじっとしていることが難しく、無理に押さえつけると

ストレスや恐怖を感じて動いてしまいます。その瞬間に金属製の器具が

歯茎や舌、口腔粘膜を傷つけてしまい出血や炎症を起こしてしまうリスクがあります。

 

②歯周病の原因は歯の奥にある

犬の歯周病の原因は、歯石の中に潜む細菌が歯周ポケットに侵入し、

歯肉や歯根膜に炎症を引き起こすことです。

つまり、歯の表面だけを削っても歯周病の根本的な予防や治療にはならないのです。

 

③病気の早期発見の機会を逃す

無麻酔処置では、正確にレントゲン撮影ができないのと歯周ポケットの深さの測定が行えません。

そのため、見た目にはわからない歯の根元の病変や

歯槽骨の破壊を見逃してしまうリスクが極めて高くなります。

 

④緊急時の対応体制がないことも

無麻酔歯石取りを提供する施設の中には、獣医師が常駐していないケースもあります。

施術中に体調を崩したり、事故が起きた場合に医療的な対応が取れず、

命に関わる事態を招く恐れもあります。

 

無麻酔歯石取りに伴う具体的なリスクとは?

歯肉・舌・粘膜の損傷

動物が嫌がって動いた拍子に金属スケーラーが口腔内を傷つけることで、

出血や二次感染の危険性があります。傷口から細菌が侵入し、

口腔内だけでなく全身に影響を及ぼすこともあります。

 

歯の破折や痛みの誘発

歯石が強固についている場合、無理に削り取ろうとすると健康な歯に亀裂や破折が生じる可能性があります。

犬は痛みを隠す傾向があるため、慢性的な苦痛を見逃してしまうことになります。

 

歯周病の悪化を見逃してしまう

無麻酔では歯周病の本質的な診断ができません。

そのため、歯周ポケット内の炎症や歯根の病変が放置されてしまい、

結果的に重度の歯周病へと進行する危険があります。

 

歯磨きをさせてくれなくなるかも…

無理に押さえられてストレスや恐怖を感じると口を触ることも嫌がるようになってしまいます。

結果的に歯磨きもできない状態になってしまうこともあります。

 

犬の歯石取りには麻酔が必要?動物病院で行う理由

 

安全性と正確性を確保するために麻酔が不可欠

動物病院では、安全にかつ精密に処置を行うために全身麻酔を使用します。

麻酔によって動きを完全にコントロールできるため、犬に余計なストレスを与えることなく、

歯周ポケットの深部まで清掃することが可能です。

動物病院で行う歯科処置の内容

  • 歯周ポケットの深さを測定し、病状を評価
  • スケーリング、ルートプレーニングによる徹底洗浄とポリッシングによる歯面研磨
  • 抜歯が必要な歯の判断と処置

これらの処置は、無麻酔では対応不可能であり、犬の口腔内を本当に健康に保つためには欠かせない内容です。

Before

 

 

 

 

 

 

After

 

麻酔が不安な飼い主様へ|安全性を高める取り組み

①麻酔前の徹底した健康チェック

当院では、麻酔前に血液検査・レントゲン検査・身体検査を実施し、全身状態を総合的に評価します。

高齢犬や持病を持つ犬でも、個々のリスクに応じて慎重に判断を行います。

 

②モニタリング体制の充実

処置中は心拍数・血圧・体温・酸素濃度を常にモニターし、異変があればすぐに対応できる体制を整えています。

麻酔に関する専門知識をもったスタッフが常時対応しているため、安心してお任せいただけます。

 

歯石取り後のケアが再発予防のカギ

自宅での歯磨き習慣が重要

歯石取りをして終わりではなく、その後のケアが非常に大切です!

犬用の歯ブラシとペーストなどを使って、1日1回の歯磨きを目指すことが理想的です。

最初は口を触ることから始め、段階的に慣らしていきましょう。

 

デンタルケア用品の活用

当院ではデンタルケア用品も多数取り揃えていますので気になる方はお気軽にお声がけください☺️

  • デンタルガム
  • デンタルケアサプリメント
  • デンタルジェル
  • 歯ブラシ

ただし、これらは補助的手段であり、歯磨きの代替にはなりません

あくまで併用していただくことをお勧めします。

定期的な歯科健診を忘れずに

半年〜1年に1回は、動物病院での口腔内チェックを受けることで、

早期発見・早期治療が可能になります。

 

まとめ|犬の無麻酔歯石取りは“簡単”ではなく“危険”

「無麻酔なら安心」「手軽で経済的」と思って選んだ処置が、

実は犬にとって大きな健康リスクを伴う可能性があることをぜひ知っていただけたらと思います。

本当に大切なのは、見た目をきれいにすることではなく、歯と歯ぐきの中まで健康を守ることです。そのためには、信頼できる動物病院での処置と、日々の予防ケアの両立が欠かせません。

愛犬の口臭や歯石、歯茎の腫れなど、どんな些細な症状でもお気軽にご相談ください😊

愛犬の健康寿命をのばすために、今できることを一緒に始めましょう🐶

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